文芸誌の編集部員実藤は、前任者の荷物を片付けているときに偶然に原稿の束を手に取った。捨てて良いものか、捨てたら拙いものかを確認する為に原稿に目を通す。確かな筆力による物語にすっかり魅せられた実藤は原稿が未完の侭であることを惜しみ、何とか小説を完成させるべく作者捜しを始めたことから物語は始まる。
消息不明になった作者を探す為に、作者と親交があった編集員や小説家に手掛かりを求めると、誰しもが「関わり合うな」という。何故かと問うても言葉を濁して理由を語らない。
其れでも食い下がり何とか得た手掛かりを元に作者に邂逅することが出来た。と此処までは謎解き風の要素もあって一気に読み進めることが出来た。
問題は作者と邂逅し、小説の続きを書くように実藤が迫ってからの展開だ。巫女を生業としている作者と対峙しているときに、海外での取材中に亡くなった、実藤が好意を寄せていたフリーライター千鶴が突然、彼の目の前に現れる。此処から死生観やら、宗教論やら、あの世の人やら、魂やらが出てきてオカルト(笑)チックになってきて、結末は何ともとほほなことになった。
結末がとほほなことになったのは俺の読解力のなさが原因かもしれない。至る所に個人の魂が宿っている(存在)していることを悟り、至福を味わう実藤の姿に違和感を覚え、彼が何故に至福を味わうことが出来るのかが理解できていない。
時間があればもう一度読み直して、何故にあのような結末を迎えるのか理解するまでは、他人に「読め」とも「読むな」とも言えない。うん、今の俺には理解できない。そんな一冊でしたorz
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