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2011/09/25

懲戒の部屋(筒井康隆 著)読了

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筒井康隆自選短編ホラー集の1冊目がこの本だ。

古いものでは書名となっている「懲戒の部屋」は昭和43年のもの、最近のものだと「近づいてくる時計」が収録されている。

この短篇集で一番怖方のは「走る取的」だ。はじめて読んだ中学生の時も怖かったが、改めて読みなおしても怖かった。

昨今、痴漢冤罪が話題に上がることがあるが、「懲戒の部屋」はまさに痴漢冤罪をテーマにした作品だ。筒井康隆は昭和40年代に既に痴漢冤罪が大事になることを予測していたのだろうか? と改めて読んだ感想だ。そう言えば「最後の喫煙者」という行き過ぎた嫌煙運動を予測した名作もあったなあ。因みに「最後の喫煙者」はこの短篇集には含まれていない。

不合理をテーマにした「乗越駅の刑罰」、「懲戒の部屋」や、「顔面崩壊」、「蟹甲癬」のSFホラー、そしてオーソドックスなホラー「かくれんぼをした夜」と多種のホラー短編が楽しめる一冊となっている。短編なので構えることなく気軽に読めるし、どの作品も退屈しない面白さとなっている。筒井康隆のファンも、そうでない人も、ホラー小説が好きな人にお薦めの一冊。

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